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2017年7月1日土曜日

~3台のIBM i でSNA (APPC/APPN) 構成~
IBM i でのSNA通信(構成編)

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続いて、1つのLANセグメントに接続された2台のIBM i に加えて、ルータを介して接続された、遠隔セグメントに接続された1台のIBM i の構成を考えます。TCP/IPが既に構成されていて、それぞれのにIBM i に固定のIPアドレスが割り当てられており。TCP/IPの経路の設定もなされているものとします。


1台目:ネットワークID=APPN、制御点名=ABRAHAM、IPアドレス=192.168.1.101/24
2台目:ネットワークID=APPN、制御点名=BRADLEY、IPアドレス=192.168.1.201/24
3代目:ネットワークID=APPN、制御点名=CHARLIE、IPアドレス=172.23.0.176/16

(※ クリックすると図が大きくなります)


2台のIBM i の時と同じように、ANYNETで2台ずつの組み合わせで(A)と(B)、(A)と(C)、(B)と(C)のように構成することも可能ですが、その場合さらに別のセグメントのIBM i が加わることになると構成が複雑になりますので、ここでは「EE」を使用して、(C)のIBM i をAPPNのネットワーク・ノードとして構成します。(C)をネットワーク・ノードとして構成した場合、(C)の先に別のLANセグメントがあって、IPルーティングをしない設定になっていたとしても、APPNの中継機能によって、APPCアプリケーションのセッションは中継されます。また(C)の先のセグメントにIBM i (D)が追加されたとしても、(A)、(B)システムでは通信構成を変更することなく、(C)(D)間のSNA通信構成をするだけで、(C)システムのロケーション探索機能が、追加されたセグメント内のIBM i (D)のAPPC通信ロケーションを検索してくれるので、(A)、(B)システムからは、APPC通信構成を追加することなく、(D)システム内のAPPC通信ロケーションを指定して、APPC通信を開始することができます。
追加された(D)から、(A)、(B)どちらのシステムに対しても、(A)(B)システム内のロケーションを直接指定して、APPC通信アプリケーションを開始することができます。

1)ネットワーク属性の確認
2台のIBM i の時と同様にそれぞれのIBM i で「DSPNETA」コマンドを使用して、ネットワーク属性を表示します。

・ローカル・ネットワークID(出荷時点では「APPN」)
・ローカル制御点名(出荷時点ではシステム名)
・省略時のローカル・ロケーション(出荷時点ではローカル制御点名と同じ)
・APPNノード・タイプ(出荷時点では「*ENDNODE」)
・サーバー・ネットワークID/ 制御点名(出荷時点では「*LCLNETID *ANY」)
・ANYNETサポートの許可(出荷時点では「*YES」)
・HPRトランスポート・タワー・サポートの許可(出荷時点では「*NO」)

この構成では「EE」を使用するために、HPRトランスポート・タワー・サポートの許可を「*YES」に変更する必要があります。また、(A)、(B)システムに対してAPPNネットワーク機能を提供する(C)システムを、APPNノード・タイプ「*NETNODE」として構成します。(A)、(B)システム内で制御点名と省略時の構内ロケーション以外のロケーション名を使用する時は、(A)、(B)システムのサーバー・ネットワークID/ 制御点名に(C)システムのネットワークID.制御点名を指定します。
こうすることで、APPNの制御点セッションを通して(A)(B)内のAPPC通信ロケーションが(C)システムに登録されます。(A)(B)システムで制御点名以外のロケーション名を使用しない時は、この設定は必須ではありません。これは、(C)システムのAPPC通信構成によって、(C)システムは(A)(B)両方のシステムの制御点名を知ることができるからです。これらの拡張分散ネットワーク機能(APPN)については、機会があれば別稿で説明できたらと考えています。

ネットワーク属性の変更は、「CHGNETA」コマンドで行います。

2)IPアドレスの確認
それそれのIBM i で「CFGTCP」コマンド、または「NETSTAT OPTION(*IFC)」コマンドを使用して、構成したいサブネットに接続されているTCP/IPインターフェースのIPアドレス/サブネット・マスクを表示します。

3)構成のための情報
それぞれのシステムの構成のための情報は以下のようになります。
(A)システム
・ローカル・ネットワークID=APPN
・ローカル制御点名=ABRAHAM
・省略時のローカルロケーション名=ABRAHAM
・APPNノード・タイプ=*ENDNODE
・サーバー・ネットワークID/ 制御点名=APPN.CHARLIE
・HPRトランスポート・タワー・サポートの許可=*YES
・IPアドレス/サブネット・マスク=192.168.1.101/255.255.255.0

(B)システム
・ローカル・ネットワークID=APPN
・ローカル制御点名=BLADLEY
・省略時のローカルロケーション名=BLADLEY
・APPNノード・タイプ=*ENDNODE
・サーバー・ネットワークID/ 制御点名=APPN.CHARLIE
・HPRトランスポート・タワー・サポートの許可=*YES
・IPアドレス/サブネット・マスク=192.168.1.201/255.255.255.0

(C)システム
・ローカル・ネットワークID=APPN
・ローカル制御点名=CHARLIE
・省略時のローカルロケーション名=CHARLIE
・APPNノード・タイプ=*NETNODE
・サーバー・ネットワークID/ 制御点名=*LCLNETID *ANY
・HPRトランスポート・タワー・サポートの許可=*YES
・IPアドレス/サブネット・マスク=172.23.0.176/255.255.0.0

4)それぞれのシステムでの通信構成
「ANYNET」の通信構成と違って「EE」の通信構成では、通信相手システムのネットワークID.制御点名とともにIPアドレスまたはTCP/IPホスト名を指定するので、TCP/IPホスト・テーブル項目の追加は不要です。

(A)システム
・「CRTCTLAPPC」コマンドを使用して、APPC制御装置記述を作成します。LINKTYPEには「*HPRIP」を指定します。EEでも、ネットワーク層以下はTCP/IPを利用するため、制御装置を接続する回線は指定しません。

  CRTCTLAPPC CTLD(EECHARLIE) LINKTYPE(*HPRIP)  RMTINTNETA('172.23.0.176') LCLLINTNETA(*SYS) RMTNETID(*NETATR)  RMTCPNAME(CHARLIE) CPSSN(*YES) NODETYPE(*NETNODE) TEXT('EE TO CHARLIE')

(A)システム
・APPC制御装置記述

  CRTCTLAPPC CTLD(EECHARLIE) LINKTYPE(*HPRIP)  RMTINTNETA('172.23.0.176') LCLLINTNETA(*SYS) RMTNETID(*NETATR) RMTCPNAME(CHARLIE) CPSSN(*YES) NODETYPE(*NETNODE) TEXT('EE TO CHARLIE')

(A)から(B)システムへのAPPCアプリケーション通信は、ネットワーク・ノードである(C)によって中継されますので、APPC制御装置記述の作成は不要です。(中継させたくない時は、手動で作成することもできます)

(B)システム
・APPC制御装置記述

  CRTCTLAPPC CTLD(EECHARLIE) LINKTYPE(*HPRIP)  RMTINTNETA('172.23.0.176') LCLLINTNETA(*SYS) RMTNETID(*NETATR) RMTCPNAME(CHARLIE) CPSSN(*YES) NODETYPE(*NETNODE) TEXT('EE TO CHARLIE')

(B)から(A)システムへのAPPCアプリケーション通信は、ネットワーク・ノードである(C)によって中継されますので、APPC制御装置記述の作成は不要です。(中継させたくない時は、手動で作成することもできます)

(C)システム
・(C)システムでは、(A)システム宛と(B)システム宛のAPPC制御装置記述を作成します。

  CRTCTLAPPC CTLD(EEABRAHAM) LINKTYPE(*HPRIP) RMTINTNETA('192.168.1.101') LCLLINTNETA(*SYS) RMTNETID(*NETATR) RMTCPNAME(ABRAHAM) CPSSN(*YES) NODETYPE(*ENDNODE) TEXT('EE TO ABRAHAM')

  CRTCTLAPPC CTLD(EEBLADLEY) LINKTYPE(*HPRIP) RMTINTNETA('192.168.1.201') LCLLINTNETA(*SYS) RMTNETID(*NETATR) RMTCPNAME(BLADLEY) CPSSN(*YES) NODETYPE(*ENDNODE) TEXT('EE TO BLADLEY')

5)構成の活動化
(A)(B)(C)のIBM i の構成が完了したら、それぞれのシステムで「VRYCFG」コマンドを使用して、作成したEE用APPC通信制御装置を、オンに構成変更します。「WRKCFGSTS CFGTYPE(*CTL) CFGD(*APPC)」のオプション=1を使用して、オンに構成変更することもできます。

EE用のAPPC制御招致記述がオンに構成変更され、活動化すると、仮想のAPPC制御装置が無ければ作成され、この構成では制御点セッションを使用するように構成されている(CPSSN(*YES)となっている)ので、制御点セッション用のAPPC装置記述が自動的に作成されて、活動化されます。

6)利用するAPPCアプリケーション用の構成
APPCアプリケーション用の構成は、APPNネットワーク機能を使用する、使用しないにかかわらず同じです。
ただ、5250表示装置パススルーにはホップbyホップの中継機能がありますが、指定するAPPC装置記述名はAPPN(*NO)でなければならないため、(A)→(C)→(B)システム等の5250表示装置パススルーを実行したい時は、(A)システムで(B)システム内のロケーション名を指定します。

  STRPASTHR RMTLOCNAME(*CNNDEV) CNNDEV(CHARLIE BLADLEY) → ×
  STRPASTHR RMTLOCNAME(BLADLEY) → ○

APPCアプリケーションの分散データ管理機能(DDM)には、もともと中継機能がありませんので、 複数システムを経由するようなDDMを実行したい時は、EEでの構成が必要になります。


次回は、SNA(APPC)通信構成を使用した、ユーザー作成のAPPCアプリケーション・プログラムについて投稿したいと考えています。

(T&Trustの爺)

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